不景気と会計は一体どうなってしまうの?

ホッテントリメーカーさんにお世話になりますたw 本当は、ガ島通信さんの記事を読んで書いてるんですけどね。
ガ島さんの記事に同じく、中谷巌さんの「反省」論は実に不気味に映ります。反省だったらサルでもできると言うじゃないすか(古)。
アメリカ発とはいえ景気の悪さが世界の共通認識になってる中で、日本の世論の、正確に言えばマスコミが煽る世論の悲観ぶりは特に目立つ気がしてます。あ、そりゃもちろん WSJ とか NYT とかブルームバーグのヘッドラインを見てりゃ、悲惨なタイトルがこれでもかとばかりに出てきます。でも、それだけ開けっ広げだと逆になんというか、潔い気がするんですね。
それに引きかえ日本ときたら、中谷さんの論もそうだけど、小泉改革が悪かったとなんとまあ内省的なことか。あのさあ、今さら過ぎたことをアレコレ言っても始まらないってのは子供でもわかることだと思うんですけどねえ。で、民主党の皆さんも、小泉改革路線を引き継いでるはずの現麻生政権は退陣すべきと主張する。まあ、官僚とか財界とか、今回の不況になにがしかの影響を及ぼしていただきたい方面へのパイプが民主党は太いようには見えませんけどね。
アメリカに目を戻すと、やつらはなかなかしたたかだなあと思わせることがあります。やつらってのは、企業各社のことを指すと思ってください。何がしたたかかと言えば、企業会計標準を米連邦のそれ(FAS)から国際財務報告基準(IFRS)に前倒しで移行しようというところが多いんだと。
逆に日本の企業ときたら、事務手続きが変わるような類の手間を掛けるのにはずいぶん消極的ですわな。まあしかし、会計標準を変えるのが面倒でカネも掛かるのはアタリマエです。そういう、手続きや手法を変えるときに費やすカネのことをスイッチング・コストと言います。アメリカ企業は、今スイッチング・コストを掛けても後々の儲けで補えると考えてるんでしょう。逆に日本企業は、今すぐに掛けなくてもいいカネなら1銭たりとも払いたかねぇぞと。
そうこうしてる間に、アメリカと日本の差はどんどん開いてくんじゃないかって気がするんです。だってそうでしょ。アメリカが国際的な会計標準で事務のやり方を統一できりゃ、極端な話、会計なんて機械に全部任せちまえばいいんですよ。一方の日本は、いつまでたっても企業の経理部の人たちが四半期ごとに電卓とにらめっこで深夜残業ですか。もっとも、日本も会計ソフトの導入がずいぶん進んでるからそれほどシンドくないのかもしれません。でも、内部統制報告やなんかに追加人員や外部コンサル(笑)を大層つぎ込んでると聞きますよ。そこまで体制を大きくしちまったモンだから、逆に新しいやり方に対応できなくなってるとも言えるんですけどね。
2015 年には日本も IFRS を強制適用すると言われてる、つまりこれはもはや逃れようのないモノだから、じゃあ今のうちにやっておこうか、あるいはギリギリまで現状で持ちこたえるか。これっくらいの差なのかもしれません。アメリカマンセ−じゃねえぞと。でも、技術力の衰退とかナンとかよりも、こういう対応の万事かったるいところが競争力を削ぐ要因なんじゃね?ってギモンは案外ハズしてないときょうび思うワケです。
SOX 法の本場アメリカはエンロンワールドコムの「反省」からのアクションが実に素早かった。でも日本の官庁や政府は、ライブドアがどうしようが日興コーディアルがナニしようが、なかなか動こうとしませんでしたわな。正直、ホリエモン(笑)をしょっ引けばオールオッケーと思ってたんじゃないかと。実はその頃、つまりライブドア事件の頃以降産業の現場のところどころからおかしな話は聞こえてきてたんですけどねえ。
冒頭の中谷さんに話を戻せば、今さら「反省」してるくらいならさっさと行動しろよと。中谷さんみたいな立場の人が先陣切れよ、と思うんです。どうっすか?