IPO おめでとうございます。さて・・・

GREE と paperboy&co. の上場が決定したことを、業界(笑)にも市場にもかかわる者の一人の立場でたいへん感慨深く思う。関連する記事のはてブも賛辞・祝辞であふれている。
でも、こんなときこそ、スーツ(笑)を着たコンサル(笑)の立場で冷水を浴びせておくのも悪くないような気がする。世は不景気である。こんなときは、長いモノに巻かれたい気分にもなるというものだ。
DCF とかデューデリとかは、専門家諸氏にお任せする。問題としては、やはり今の市況、そう、市場環境に触れないワケにはいかない。
個別の銘柄ではなく、株式市場をマクロな目線で捉えてほしい。そうすると、需要が冷え切った結果で株価を下げている市場にさらに GREE や paperboy&co. といった新規公開銘柄が投入されることで、いわば供給過剰の状態が作られる。
供給が需要をオーバーすれば価格が下がるというのは、ケーザイ学にはかるまでもなく小学生でも理解できる話のはずだ。
あと、このご時世、両社の大株主が投資回収を焦ったという見方もできる。おそらくこの見方は既出で、なおかつ今回の両社の上場に異を唱えるとすれば最も問われるべきファクターだろう。ねえ、GM○さん。
さらに加えるなら、両社のトップ以外の経営層の顔が見えづらいことも問題だ。上場企業たるもの、管理コストは甚大である。社長のワンマン体制が機能するなんて懐かしい昔話だ。CSR、IR、内部統制など、経営者が最終責任を持つべきことは山ほどある。
そういう制度面に必ずしも明るいとは思えない両社トップにとっては、「上場企業」の経営はとてつもない重荷である。株主総会で、投資家の納得のいく説明をするスキルが果たしてあるのか?
それを補佐すべき他の役員ないしは執行役員の「顔」が見えてこない。いや、Web を見れば誰かくらいはわかる。でも、上場企業の経営に不足のない人たちのようにはまるで見えないのだ。
おそらく、運悪く(?)この記事に目が留まってしまった人たちは、上場をダシに蹂躙された企業を何社もご存知のことだろう。どうか GREE と paperboy&co. の両社が、そういうあくどい手先の犠牲にならないことを切に願うのである。